アスペルガー症候群の診断
子供の頃から友達と上手くいかない、あるいは大人になってから友人と社交的な関係が築けなくなってきた、人の言っていることが理解できない…など、アスペルガー症候群にはさまざまなコミュニケーション上のトラブルがあります。
アスペルガー症候群を患う本人にとっても、嫌な思い出として思い当たる節があるのではないでしょうか。
自分自身、もしくは自分の身近にいる人がアスペルガー症候群かもしれないと思ったら、まずは施設で診断してみましょう。
アスペルガー症候群は病気と言われていますが、後天的な疾患というよりも先天的な疾患であるため、早期に発見して心理療法などを実践し、続けていく必要があります。
アスペルガー症候群を診断できる施設
アスペルガー症候群かどうかの診断は、病院の精神科や地域の発達障害者支援センターなどで行っています。
インターネット上で手軽に診断をすることもできますが、ネット上は医師の判断ではなくあくまでチェックのみの段階ですので、本格的な処置は病院やクリニック、支援センターなどを利用するようにしましょう。
大人になってから、「もしかしたら自分はアスペルガーではないのか?」と疑問を感じた方は、当サイトで診断できるページを作りましたので試してみて下さい。
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アスペルガー症候群の診断方法
アスペルガー症候群の診断では、脳をレントゲンで診るような治療とは違い、器質的な部分よりもむしろ患者さんの内面をチェックして診察を行います。
子供の頃の生活や行動、言葉に対する反応、思考パターン、発話の仕方や理解力などを総合し、自閉症などと比較するなどして判断をします。
検査をすればそれで明らかになるというものではなく、状態(行動)と生育歴を診断基準に照らし合わせることで行われるのです。
患者の現状を観察するだけではなく、普段の家庭や学校、職場での生活状態を詳しく聞き取る必要があります。
また、生まれてから今までの生育や生活の歴史をたどって、特異な発達の問題がなかったか見ていくことも必要であり、幼い頃から本人をよく知る人からの聴き取りと情報収集が重要です。
しかし、年齢が上がるほど、幼いころの記憶は曖昧で不正確となりがちとなるため、母子手帳や育児記録、学校時代の通信簿などの資料が助けとなります。
患者がどのように育ち、どのような特徴や困難を抱えているか把握していきながら、診断となるポイントが当てはまるかどうか見極めをつけていく作業を行います。
また、アスペルガーであるかという判断と同時に、ADHD(注意欠陥多動性障害)などの障害があるか、トゥレット障害など合併症を発症しているかについてもチェックを行い、初診から二回目、三回目と続けて診察を継続する場合もあります。
アスペルガー症候群を診断するための4つの要件
アスペルガー症候群を診断する際には、以下の4つの要件を満たしている必要があります。
1.言葉の発達の遅れがない
具体的には二歳までに一つ以上の言葉を話し、三歳までに二語文をはなしているとき、遅れがないと判定する。同様の症状で、言葉の遅れが認められる場合には高機能自閉症が疑われる。
2.知能が正常である
通常、IQ70以上を基準とするが、バロン・コーエンは85以上を提案している。
その場合、同様の症状を持ち、IQ70〜84のレンジの人を中機能自閉症と呼んでいる。
3.その他の面で発達の遅れがない
身の回りのことを自分でする自己管理能力、危険を回避しつつ自分の欲求を満たす適応行動、子供の頃においては周囲への好奇心が、年齢相応に認められる。
4.社会生活で問題が生じている
社会生活や職業生活において著しい困難が生じていること。
アスペルガー症候群の診断に関する注意点
アスペルガー症候群は、幼いうちに早期に診断され、適切な療育を受けることが重要です。
発達障害者支援法には市町村や教育委員会が、発達障害の早期発見に努めることが規定されています。
このため、早い段階でアスペルガー症候群と診断がつくケースが多くなってきました。
ただし、早期の発見が求められる中で、専門家も診断に十分に習熟しない事情もあり、過剰診断が下されていた事例も発生しています。
発達障害の就労支援サービス
アスペルガー症候群をはじめ、発達障害の方の就労支援を実施しているサービスもありますので、参考にして下さい。
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