アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群とは、近年「自閉症」「発達障害」などと共に社会的に認知されている病気の一つです。

 

いわゆる大人の発達障害とも言われ、小児から青年期にかけては特徴が目立たないのに、大人になって社会に出るようになってから目立ちはじめた方が少なくありません。

 

アスペルガー症候群の特徴ですが、まず、自分を中心としたマイペースな行動がまず挙げられます。
趣味などに没頭したり、話を最後まで聞いておらず人の指示や頼みごとが聞けない、興味のある話しか覚えていないなどといった部分が特徴的です。

 

自閉症の場合、子供のうちから社会的に対人関係が上手く築けない問題がありますが、アスペルガー症候群はその限りではありません。

 

以下に、アスペルガー症候群の主な特徴を挙げます。

 

  • 集中力がない
  • 多動の傾向がある
  • 思ったことを直接的に表現してしまう
  • 突然怒り出す傾向がある
  • 言葉の裏の意味を読み取れない(比喩表現など)

 

特に近年注目が集まっているのは、アスペルガーの方は一定の言語能力を維持することが難しいので、他人とのコミュニケーションを避ける傾向にあるということです。

 

アスペルガー症候群の方は一見すると、わがままで自分勝手な人というイメージで捉えられやすいのですが、個人行動を好むのは病気の症状の一つです。もちろん性格的な問題などでは決してなく、先天的に抱える疾患だということを周囲が理解しなくてはなりません。

 

むやみに「何で分からないんだ」と叱るのではなく、病気そのものへの理解がまず重要と言えるでしょう。

 

特徴1:社会性の障害

アスペルガー症候群の特徴としてまず挙げられるのは、社会性の障害です。
アスペルガー症候群を最初に報告したハンス・アスペルガーも、このことを最も明白な特徴として指摘しています。

 

例えば、他の人と一緒にいても、まるで一人でいるかのように周りの出来事に関心を示さず、孤立的に振る舞ったり、相手を喜ばせようとか気に入られようとかは思わず、周りの人から接触を求められても拒むことがあります。

 

また、誰かが自分の世界に入り込んできたり、ルールに従うよう強要されたりすると、激しい拒絶反応を起こすこともあります。

 

以下に、社会性の障害による主な特徴をまとめます。

 

  • 視線が合いにくく、相手の顔をあまり見ようとしない
  • 声の調子が単調、抑揚が不自然、表情や身振りも乏しい
  • 視線や声の調子、表情、身振りから、相手の感情を読み取ることができない
  • 暗黙のルールがわからない
  • 相手の気持ちや考えを察するのが苦手
  • 相手の反応にどう対応したらよいかわからず、適切な距離がとれない
  • 自分の考えだけが正しいと思い、相手の視点で考えることができない
  • 他人に対する関心が極度に乏しい
  • 一人を好む

 

特徴2:コミュニケーションの障害

アスペルガー症候群の2つめの特徴は、コミュニケーションの障害です。

 

アスペルガー症候群のコミュニケーション障害は、自閉症とは異なり、言語的な発達自体には遅れがありません。
言語能力は正常ですが、コミュニケーションが苦手なのです。

 

コミュニケーションとは、相手と言葉のキャッチボールをしながら意思疎通を図ることといえますが、自分の関心のあることをTPOや相手の反応に関係なく質問したり、一方的に話し続ける傾向が見られます。

 

一方通行のコミュニケーションになる要因として、言葉を聴き取り理解する能力が弱いことが挙げられます。
アスペルガー症候群では、話したり書いたりする能力に比べて、ヒアリング能力が弱い傾向があります。よく話すが相手の話が頭に入らないということです。

 

また、興味のない話題になると途端に口を閉ざしたり、自分が話したことに対して、相手が返してきたコメントにすぐ反応できないこともあります。

 

以下に、コミュニケーションの障害による特徴をまとめます。

 

  • 文字通りに言葉を受け取り、ユーモアや冗談が通じない
  • 会話とは無関係な発言をする
  • 言葉のキャッチボールができず、自分から一方的に話す
  • 細かい部分にこだわり、話の要点がわかりにくい
  • 感情を表現するのが苦手
  • 喩えを理解したり、ごっこ遊びをするのが苦手
  • 難しいことは知っているが、日常的な会話は苦手

 

特徴3:反復的行動と狭い興味

反復的行動

アスペルガー症候群の3つめの特徴ですが、同じ行動パターンや馴染んだやり方に固執する傾向があります。

 

例えば、いつも同じ席で同じものを食べたり、同じ通学・通勤経路を通って帰らないと気が済まなかったり、非効率だと頭ではわかっていても決まったやり方で仕事をしないなど、様々な行動に現れます。

 

この特徴は、単調なルーチンワークに従事したり、高い目標を掲げて妥協せずに努力して達成するという意味では、大いに役立つといえます。
しかし、一方では柔軟な対応ができず、非効率なルールを周囲の人に押し付けてしまうマイナス点でもあるといえます。

 

このような特徴を持つアスペルガー症候群の人が上長となり、周囲に支配力を持つ立場となった場合は、非常に有害な作用を及ぼすことになりかねません。

 

狭い興味

アスペルガー症候群の人は、限られた領域に強い興味や関心を持ち、それに熱中することがあります。
これは短所というよりも、長所の側面であるといえるでしょう。

 

このタイプの人は、一つのことに没頭して驚異的な集中力を発揮し、全てを犠牲にするほど打ち込むことがあります。
そしてその結果、専門家も顔負けの知識を身に付けることもありますが、実用とは無縁のことに熱中してしまうこともあります。

 

以下に、反復的行動と狭い興味による特徴をまとめます。

 

  • 周囲にも同じルールを求める
  • 同じ行動パターンを繰り返す
  • 変化に対して順応できずパニックになる
  • 驚異的な集中力を持つ
  • 狭い領域に深い興味を示す
  • 人よりモノへの関心が強い
  • 秩序やルールを好む
  • 細部に異様にこだわり、優れた記憶力を持つ